『AERA』(6/12号)の特集
「『女性・女系天皇』を阻む壁は何か」
を読んだ。
随分と野心的なタイトルで
男系固執派の言い分を粉砕してくれるのかと
思いきや、「識者」に聞いて「ただ綴った」だけ。
その識者も及び腰というか、玉虫色というか、
「それってただの傍観者、他人事じゃん」という
印象しか持ち得ない内容である。
結局、何が言いたいの???
森暢平氏は、
「議論が深まらない最大の理由は、悠仁さまの存在」と、
まるで皇室の責任であるかのような書き方をしている。
違うだろう。
「悠仁さまの存在を楯にしている
男系固執派のでかい声」だ。
「今後10年ほどは動きがないと予想」
「国論が二分するであろうこの問題は、
渦中の栗を拾うようなもの」
「落ち着いた議論が必要だからこそ、
政治家たちも議論に踏み込めない」
政治家の肩を持って先延ばしを容認してどうする。
現状を分析してみせ、
「そんなわけだから動かないよね、
仕方ないよね」で済ませるつもりか?
古川隆久氏は、議論が進まない理由、
男系固執派への批判を明言しているが、
女性・女系天皇の容認は「次に皇室で
生まれる人から制度を適用する」と、
これまた腰が引けた内容。
妥協案のつもりかもしれないが、
これって誰かが悠仁さまのお妃となって、
子供を必ず生まなければならないことが前提となる。
そこまで確実に続きますかね?
そのお妃ひとりにすべてを賭けるんですかね?
かなり危ういと思いますが。
里中満智子氏。男系派の完全コピペ。
あなた、持統天皇をマンガに描いていて、
女性天皇が中継ぎって、そりゃないでしょうよ。
男系男子について、
「なぜそこまで男系にこだわったのか
理由は定かではありませんが、
そうして紡がれてきた歴史がある以上、
男系男子優先の原則は変えるべきではありません」
って、正気か。
理由は明々白々。儒教の男尊女卑の影響です。
過去がそうだったから、未来も原則を変えないなどと、
無理筋の制度を頑なに守ろうとする、これこそ
伝統ではなく因習ではないか。
そして「旧宮家系の男系男子」も、
「いると聞き及びます」って、
なんという無責任さ。こんな人、識者として呼ぶな。
笠原英彦氏。
制度設計において女系容認が安定継承につながると
しながらも、制度論だけでそれを唱えることは難しいと言う。
なぜなら、
「基本的な部分で相容れない対立構造ができているから」。
こちらも及び腰。
「伝統」などという聞こえのよいフレーズで、
もはやこの後に及んで意味があるとは思えない因習を
頑なに守ろうとする単なる男尊女卑の思想も、
大きな声で言い続ければコロリと騙されるヤツがいる。
それを対立と見て、先延ばししようとする人もいる。
一体何に、誰に、忖度しているのか?
我々が本当に忖度しなければならない人は誰か?
そのことを忘れていないか???
AERAはこうした識者の考察と、続けて世論の分析記事を
載せてお茶を濁しているが、決定的な点が抜け落ちている。
それは、男系男子でつなげるための旧宮家系男系男子の
皇籍取得は「門地の差別」となり、憲法違反であること。
国民としての自由をことごとく制限するのだ、AERAはそこに
敏感でなければならないはずだが、なぜスルー?
そして、こうしてグダグダと声の大きいほうに阿っているうち、
天皇・皇室制度の存続が決定的に危うくなるということ。
そしてそれは、私たち日本国民に大きな影響を及ぼすこと。
こうした皇位継承問題における本質が、きれいに抜け落ちている。
『女性・女系天皇』を阻む壁は何か。
こういう中途半端なメディアの姿勢じゃないのか?
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